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負担付贈与と贈与税

 父が85歳になり私にアパートを生前贈与したいと言っています。相続時精算課税制度を使えば相続税評価額が(3,200万円+1,050万円)-借入金2,000万円で

2,250万円となることから2,500万円以下ですので贈与税はかからないと思います。名義の書き換えをしても問題ないですか。

以下が土地建物と借入金の額です。

土地 固定資産税評価額:3,000万円 相続税評価額(貸家付地):3,200万円 時価4,700万円

建物 固定資産税評価額:1,500万円 相続税評価額(貸家)1,050万円 簿価:1,000万円

銀行借入金残額:2,000万円


 アパートを贈与する代わりに借入金を負担する、いわゆる負担付贈与というものがあります。この場合の贈与税の計算は、相続税評価ではなく、時価評価で計算します。建物の時価は売却時の帳簿価額とみなされますが、適正な価格ではない場合は、固定資産税評価額をもって適正な価額とみなします。

 本件の場合だと土地時価4,700万円+建物固定資産税評価額1,500万円-借入金2,000万円=4,200万円で贈与税額は(4,200万円-2,500万円)×20%=340万円になります。

 また、お父様は借入金2,000万円がなくなり、返済を免れたという利益を受けましたので、2,000万円でアパートを譲渡したとみなされ譲渡所得税が課税されます。

 なお、贈与の場合は、不動産取得税が固定資産評価額の4%(本則が4%ですが特例措置もあります)、登録免許税が固定資産税評価額の2%課税されます。他方で、相続の場合は、不動産取得税は課税されませんが登録免許税が0.4%課税されます。

 仮に借入金ではなく預り敷金がある場合も同じです。預り敷金は、アパートの所有者(貸主)が借主から預かっているものですので、退去時に返還義務があります。アパートを子どもに贈与した時は預り敷金の返還義務も新しい所有者である子どもに移ります。預り敷金を子どもに現金等で贈与しないときは、法律上負担付贈与とみなされます。

このように負担付贈与は色々な税金が絡んできますので注意してください。